仏具の名前と意味|最低限そろえるべき基本セット
この記事は約 4 分で読めます
[掲載日]2025/10/10 13 -
[掲載日]2025/10/10 13 -

葬儀後に仏壇を用意したら、次に必要になるのが「仏具(ぶつぐ)」です。
仏具とは、仏壇での供養や礼拝に使用する道具の総称であり、それぞれに深い意味と役割があります。
しかし、種類が多くて「どれを揃えればいいのか分からない」という方も少なくありません。
この記事では、仏具の基本セットと意味、宗派別の違い、選び方のポイントまでをわかりやすく解説します。
仏具とは?
仏具は、仏様やご先祖様に祈りを捧げるために使用する道具です。
仏壇に仏像・位牌を安置し、その前で線香や花、灯明を供えて拝む際に用います。
- お供えやお参りの際に欠かせない必需品
- 宗派や地域によって配置や種類が異なる
- 心を込めて使用することで供養の意義が深まる
仏具は単なる飾りではなく、「祈りの道具」です。
仏具の基本セット(最低限そろえるもの)
仏壇を整えるうえで、まず用意しておきたい仏具は以下の通りです。
仏具名 | 意味・役割 |
---|---|
香炉(こうろ) | 線香を立てるための器。香の香りで空間を清め、心を落ち着かせる。 |
花立(はなたて) | 供花を供える器。左右一対で置くのが基本。 |
燭台(しょくだい) | ロウソクを立てる台。仏様の智慧の光を象徴する。 |
リン(お鈴) | 拝む前後に鳴らす道具。清浄な音で場を整える。 |
高杯(たかつき) | 菓子や果物などを供える台。お供え物を清らかにする意味。 |
仏飯器(ぶっぱんき) | 炊き立てのご飯を盛る器。毎朝のお供えに使う。 |
茶湯器(ちゃとうき) | お茶や水を供える器。故人へのおもてなしの象徴。 |
経机(きょうづくえ) | 経典や数珠を置くための小机。読経の際に使用。 |
これらが「仏具の基本八点セット」と呼ばれる構成です。
仏具の正しい配置(基本の並べ方)
仏壇の段数や宗派によって若干異なりますが、一般的な配置は以下の通りです。
段 | 主な配置内容 | 補足説明 |
---|---|---|
上段 | 本尊(仏像・掛け軸)/位牌・過去帳 | 仏壇の中心。最も高い位置に本尊を安置し、位牌や過去帳を並べる。 |
中段 | 香炉(中央)/花立(左右)/燭台(左右) | 「香・花・灯明」の三供養を行う位置。左右対称を意識して配置。 |
下段 | 仏飯器・茶湯器・高杯などの供物具/リン・経机 | 日々のお供え物やお鈴を置く場所。経机は拝む際に使用する。 |
【ポイント】
- 左右対称を意識して配置
- 本尊(仏様)に向かって右側が上位
- 清潔さを保つことが最大のマナー
宗派別に異なる仏具の特徴
宗派 | 特徴・ポイント |
---|---|
浄土真宗 | 香炉は線香を立てず、寝かせて焚く。お水ではなく「お茶湯」を供える。金仏壇が多い。 |
曹洞宗・臨済宗 | 花・香・灯明の三供養を重視。落ち着いた唐木仏壇に合う。 |
日蓮宗 | 「題目」を中心に、香炉・燭台・花立の配置が明確。 |
真言宗 | 仏具の数が多く、護摩供など独自の供養形式を持つ。 |
天台宗 | 中央に阿弥陀仏、左右に観音・勢至菩薩を安置する形式が多い。 |
仏具の素材とデザイン
素材 | 特徴 |
---|---|
真鍮(しんちゅう)製 | 伝統的で重厚感があり、耐久性に優れる。 |
陶器製 | 柔らかい印象でモダン仏壇にも合う。 |
木製 | ナチュラルで温かみがある。 |
樹脂・ガラス製 | デザイン性が高く、現代住宅向き。 |
最近は「家具調仏壇」に合わせたモダンな仏具セットも人気です。
部屋の雰囲気に合ったデザインを選ぶことで、自然に手を合わせやすい空間になります。
お供えに使う仏具の意味
仏具 | 供えるもの | 象徴する意味 |
---|---|---|
仏飯器 | ご飯 | 命への感謝・食の恵み |
茶湯器 | 水やお茶 | 清めとおもてなし |
高杯 | 菓子・果物 | 喜び・豊かさ |
花立 | 花 | 無常と尊厳を表す |
毎日のお供えは「命を想う時間」。
故人の好きだった食べ物を供えるのも立派な供養です。
仏具を購入するタイミング

- 仏壇購入と同時が理想
- 四十九日法要の前までに揃える
- ネット購入時はサイズ(香炉の直径・花立の高さ)を必ず確認
また、位牌や仏壇との色調・素材の統一感を意識すると、美しく整います。
仏具のお手入れ方法
- 柔らかい布でほこりを拭き取る(乾拭き推奨)
- 金属製は磨きすぎず、光沢を保つ程度に
- ろうそく・線香の跡はすぐに拭く
- 花立の水は毎日交換する
仏具を清潔に保つことは、供養の基本マナーです。
仏具を新調・買い替えるタイミング
- 仏壇を買い替えたとき
- 経年劣化・破損・汚れが目立つとき
- 代々の供養を引き継ぐとき
「古い仏具を処分する」場合は、寺院で供養(お焚き上げ)をお願いしましょう。
仏具をそろえる際の注意点
- 宗派ごとの本尊・仏具配置を確認
- 価格よりも品質・安定感を重視
- 火気(ろうそく・線香)の安全対策を忘れずに
- 子どもやペットが触れない位置に設置
最近では「LEDろうそく」「電気香炉」など、安全性の高い仏具も多く販売されています。
まとめ|仏具は“祈りの形”を整える大切な道具

- 仏具は仏壇と並び、供養の中心となる存在
- 最低限の基本セットを整えれば十分に心が伝わる
- 宗派・住環境に合った素材・デザインを選ぶ
- 丁寧に手入れし、日々の祈りの場を清らかに保つ
仏具は「形」ではなく「心」を整えるための道具です。
見た目の豪華さよりも、「毎日自然に手を合わせられる空間づくり」が何より大切です。